伝道シリーズ第1弾

No.025 名前より本質

  フランスのパスカルという思想家の言葉に「人間は考える葦(あし)である」という言葉があります。
 数学者でもあり物理学者でもあった彼は、実によく物事を考える人でした。台風情報でよく耳にする“ヘクトパスカル”という気圧の単位は、彼が発見した圧力の原理に因んで、付けられたものです。
 しかし、そんなに偉いパスカルでも、この名言の後には、「されど弱き葦である」といい遺しています。葦は、川や沼の岸辺に群生し、二~三メートルにも成長するイネ科の多年草ですが、背が高いために風にも靡きやすくなります。  それと同じように、人はなかなか信念の定まらない者です。
 イカを干した鯣(するめ)のことを、あたりめなんて言ったりもしますね。それと同じ感覚なのでしょうか、昔の人は、「あし」という読みは、「悪し」を連想させるからと、「よし(善し)」と読みかえたのだそうです。葦の茎で作ったすだれを葦簀(よしず)と言いますよね。
 だけど、「葦(よし)の随から天覗く」と言うような狭い量見の人にはならないように、お互いに努力をしましょう。
(寺の友社 教宣編集室 謹製)

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