伝道シリーズ第1弾

No.022 素直な心

 菩提心、それは仏の道に入り、悟りを求める心を意味します。
 もちろん幼い子に、そんなむつかしい道理が分かるはずがありません。ところがあるお経には「童子が戯れに沙を聚めて仏塔を作ったり、仏の像を描いたりするのもこれまた仏道である」という教えが出てきます。
 仏さまの眼から見れば無心に遊ぶ子供たちの姿の中にも、菩提心はあるということなのでしょうか。そういえば、幼い子供は、みよう見真似で小さな手を合わせます。それにどんな意味があるのか、なぜそうなるのか知らないままに合わせる両の手。それでいながら、そこには不思議なほど仏さまの世界との一体感が感じられます。
 言い方をかえれば、大人より子供たちの合掌の姿の方がずっと絵になるのです。子供は純粋無垢という点で私たちより仏さまの世界に近いのではないでしょうか。
 だから素直な心そのものが菩提心と受けとめてみてもいいのかもしれません。なぜなら私たち大人でさえ、あの日の穢れなき童心に戻りたいと願って手を合わせているのでは、と思いあたることがあるからです。
(寺の友社 教宣編集室 謹製)

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