伝道シリーズ第1弾

No.003 文殊(もんじゅ)の知恵

 人間、一人でできることなんてたかが知れています。それでは、どうすればいいんでしょう。
「三人寄(よ)れば、文殊(もんじゅ)の知恵」という諺(ことわざ)があるのはご承知(しょうち)でしょう。文殊というのは、仏さまのお側(そば)にお仕えしている獅子(しし)に乗った菩薩(ぼさつ)さま、知恵をつかさどる方だといわれています。もちろん、私たち凡夫(ぼんぷ)に、そんな偉い菩薩さまにかなう知恵があるはずはありません。それでも、「三人寄れば」と但(ただ)し書きのある点に注目しましょう。
 たしかに一人ひとりの知恵はしれたものでしょう。でも、みんなが、それぞれの考えを出しあえば、決して菩薩さまにも負けないぞとこの諺は言いたいのではないでしょうか。
 かつて戦国武将の毛利元就(もとなり)は、三人の息子たちに矢を与え、一本ずつなら折れやすいが、三本まとまれば容易に折れるものではないと教え、兄弟仲良生きるよう諭(さと)したと言います。現代に生きる私たちにも、この知恵は必要ではないでしょうか。
 百獣の王ライオン<獅子>を倒(たお)すのに、無数のアリが団結したという西洋の童話もあります。みんなが我を離れ、全体の事を考えるようになったら、文殊さまだってマイッタというかもしれませんよ。 (寺の友社 教宣編集室 謹製)

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