伝道シリーズ第1弾 No.001-010

No.007 行雲流水

伝道シリーズ第1弾 No.007 行雲流水

一所(ひとところ)にとどまらずに各地を行脚(あんぎゃ)するお坊さんのことを〈雲水(うんすい)〉といいます。
この呼び名の本(もと)になるのは、〈行雲流水(こううんりゅうすい)〉という言葉、空に浮かんで行く雲と野を流れる水という。
いかにものんびりした風景をあらわす言葉です。

転じて、少しの執着(しゅうちゃく)もなく、淡々として成り行きに身をまかせる生き方を意味するとあります。
旅に出かけた雲水は、自然と語り、自然に学び、“人”のあるべきようを我が身に問うのでしょう。

どんなにしがみついても、離したくないと思っても、すべてのものは移(うつ)ろいゆくと説く仏教の哲理。
それを肌身に教えてくれるのは、大自然です。
都会の雑踏の中にばかり居ては、ガツガツした人間になってしまいます。
たまには野に出かけ、空を仰ぎ心を解き放つことが必要です。

お釈迦さまは、常に静かな処(ところ)を求め、深い瞑想(めいそう)の中から、人生の悩みに対する答えを導き出されました。

欲にとらわれない眼でなければ、真実の姿は映りません。
私(わたくし)なき心でなければ、真理は耳に届きません。

〈諸法実相(しょほうじっそう)〉とは、あるがままを自然に学べという仏の私た ちへの語りかけなのです。

(寺の友社 教宣編集室 謹製)

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