伝道シリーズ第1弾 No.001-010

No.006 心に咲く花

伝道シリーズ第1弾 No.006 心に咲く花

百花撩乱(ひゃっかりょうらん)、春は花が主役の季節。
出番を待っていたかのように咲き乱れる花々に彩(いろど)られ、自然は躍動し、生命(いのち)の歌を唄います。

今とばかりに美を競い合う多くの花々。
それは、青春を謳歌する若者の姿のようでもあります。
でも「花の生命(いのち)は短くて」と喩(たと)えられるのが、私たちの人生。
ただ華やかさを求めるだけでは、悔いが残るばかりです。

だからこの季節、名もない草花に目を転じてみるのも、また楽しいものです。
目を奪われるような豪華な花より、人知れず咲いている野の花に、心安らぐ美しさを発見することがあります。

かつて俳聖・芭蕉は、その旅の道すがら〈山路来て、なにやらゆかし、すみれ草〉の一句を詠(よ)んだとか。
ひっそりと、しかし精いっぱいに咲いている一輪の花に、芭蕉は本当の美しさを感じ、生命(いのち)の尊さを悟さとったのかもしれません。

見てくればかりに気を取られ、外面を飾るだけでは、鼻につく人間になってしまいます。

短い人生だからこそ、精いっぱいに生き、心に咲く花を育てなければなりません。

そうすれば、人生、一生青春です。

(寺の友社 教宣編集室 謹製)

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