一日降っただけでも、うんざりする雨。
そのくせ人は雨に思いを託し、いろんな詩をうたいます。
それは渇ききったこの世の中に、せめてもの潤いが欲しいと願うからでしょうか。
幼い頃うたった♪雨、雨ふれふれ、母さんが、蛇の目でお迎え、うれしいな。
ピチピチ、チャプチャプ、ランランラン♪という童謡を思い出します。
傘を持って迎えに来てくれた母・・・。
時代がドライになればなるほど、こんな情景が懐かしくなるのかもしれません。
だから人生の寂しさや、やるせなさは、あたかも私たちの心の中に降りしきる雨。
誰かがそっと傘を差しかけてくれるのを待っているのです。
そんな時、出会った人の情けは身にしみます。
ずぶ濡れで冷えきった体に、ぬくもりが戻ってくるように「生きていてよかった」という温かい感動が甦って来ます。
無情の雨というなかれ。
それは時として乾天の慈雨となることもあるのですから。