お経といえば、仏さまの教えのこと。
でも、〈経〉という字を引くと、ちょっと違った意味に出会います。
それは〈タテ糸〉という意味、布施のもとになるタテ糸のことです。
ヨコ糸は〈緯〉といいます。
今でも地球上の位置を示すのに、経度、緯度という用語に、この意味が使われています。
さて、機を織るには、まずこのタテ糸を張り、次にヨコ糸を織り込んでいきます。
このことからタテ糸は、つねにまっすぐに通った道、すなわち“不変の道理”という意味に転じ、教えをあらわす書物を〈経〉と呼ぶようになったのです。
こう知れば、仏さまの教えは宇宙に張りめぐらされた真理のタテ糸。
ヨコ糸を織りこむのは、今生きている私たちではないのかと考えられます。
どんな真理でも、それを活用する人間がいなければ、この世にはあらわれません。
心に仏さまとのご縁を結び、それぞれの人生模様を織りこんでください。
それが、あなた自身の布教にもなるのです。