人生をふり返った時、笑顔で思い出せるものは、いったいなんでしょう。
苦あれば楽ありという人生、それは「あの時、よく耐(た)えたな」といえる、苦しみを乗り越えた体験ではないでしょうか。
人間、おかしなもので、投げ出したくなったあの日のことが、今となっては懐(なつ)かしいと思えるようになるものです。
それは心の中に、自分は体当たりで頑張ったという満足感があるからでしょう。
お経の中には、「不自惜身命」(ふじしゃくしんみょう)という言葉があります。
「真理を求めるためには、自ら身も命をも惜(お)しまない」という意味です。
御身大事(おんみだいじ)という消極的な生き方は、かえって苦に押し潰(つぶ)されてしまいます。
体は動かすために、心は感動するためにあるのです。
精いっぱい働いて流す汗は光ります。
思わずこぼれた涙は、いつの日か輝くものです。
あなたの努力を、み仏さまは、いつもご覧になっています。