春の新芽が、夏には青葉と茂り、秋が深まると共に木々は紅葉します。
そして木枯らし吹きすさぶ冬の訪れ。
日本の四季は、仏の説く無常観-すべてのものは、うつろいゆく、一時(ひととき)としてとどまることなしという教え-のそのままを自然の中に映し出してくれます。
どんなに抗(あらが)おうと、ついには、この自然に還って往(ゆ)く私達の命(いのち)。
そんな感慨を持った時、人生をあるがままに生きた良寛さんの〈裏をみせ、表をみせて、散るモミジ〉という辞世の句に、ふと共感を憶えます。
いずれは去ると分かってはいても、今この時の生命にしがみつきたくなる私達。
寒空に散り残った柿の葉一枚にも、生への執着を感じるのが人の情。
そんな凡夫の心の裏表を知り尽くしているのが仏さま。
そんな仏さまの慈悲を見つけられたとしたら、あなたの人生の味わい方も、きっと深まることでしょう。