人間、一人でできることなんてたかが知れています。それでは、どうすればいいんでしょう。
「三人寄(よ)れば、文殊(もんじゅ)の知恵」という諺(ことわざ)があるのはご承知(しょうち)でしょう。
文殊というのは、仏さまのお側(そば)にお仕えしている獅子(しし)に乗った菩薩(ぼさつ)さま、知恵をつかさどる方だといわれています。
もちろん、私たち凡夫(ぼんぷ)に、そんな偉い菩薩さまにかなう知恵があるはずはありません。
それでも、「三人寄れば」と但(ただ)し書きのある点に注目しましょう。
たしかに一人ひとりの知恵はしれたものでしょう。
かつて戦国武将の毛利元就(もとなり)は、三人の息子たちに矢を与え、一本ずつなら折れやすいが、三本まとまれば容易に折れるものではないと教え、兄弟仲良生きるよう諭(さと)したと言います。
現代に生きる私たちにも、この知恵は必要ではないでしょうか。
百獣の王ライオン<獅子>を倒(たお)すのに、無数のアリが団結したという西洋の童話もあります。
みんなが我を離れ、全体の事を考えるようになったら、文殊さまだってマイッタというかもしれませんよ。