仏教標語集 伝道シリーズ No.001「貧者の一灯」

仏教標語集 伝道シリーズ No.001「貧者の一灯」

今回の伝道シリーズのテーマは
「真心は量や体裁を超えて最も尊いという教え」
です。

貧しい女性が自らの髪を売って灯した小さな灯明は、数えきれない長者の灯明が風に消える中でただ一つ燃え続けた――その姿は、供養の尊さは財や量ではなく、見栄や誇示でもなく、ただひたむきな真心にこそ宿るのだという仏の教えを静かに物語っています。

貧者の一灯―ささやかでもいい、真心は光り輝く

真心の尊さを説くのに〈貧者の一灯、長者の万灯〉という諺(ことわざ)がよく使われます。この言葉の由来は、仏さまに捧げられた一つの小さな灯明の物語に始まります。

ある日、マガダの国でお釈迦さまの法座が開かれた時のことです 遇(あ) いがたき仏との縁を歓(よろこ)んだ一人の女性が、何かご供養したいと願いました。ところが貧しい彼女には、一文(いちもん) のお金もありません。そこで自らの髪を切り、それを売ったお金で、わずかばかりの油を求め、法座を照らす明(あ) かりとしたのです。仏の御前(みまえ)には、多くの人々に供えられた数えきれないほどの灯明が並んでいます。

それらのどれよりも、みすぼらしく小さな彼女の灯明。しかしその時、にわかに巻き起こった風が次(つぎ)々に灯明を吹き消していったのです。あたり一面が真っ暗闇になり、人々は怖れおののきました。その中にあって、たった一つ、この貧女(ひんにょ)の捧げた灯明だけが、いつまでも光り輝いていたというのです。

「供養とはけっして世間体などを飾って、誇示するものではない。たとえささやかでも自分の真心をもってするのがいちばん尊いのだ」という仏さまの声が聞こえてくる気がしませんか。

(寺の友社 教宣編集室 謹製)

伝道シリーズとは

ご寺院や宗教施設の伝道掲示板に掲載する標語集です。
※このシリーズの標語は自由にご使用いただけますのでぜひご活用ください。