伝道シリーズ第1弾

No.002 母の恩

 親が子を大切に育てることを〈手塩(てしお)にかける〉といいます。この手塩、元来は食膳に塩を盛った小皿があったことに由来するそうです。その塩を自分の手でつまんで、めいめいが好みの味つけをした。そこから転じて、子育てに気 を配ることの意味にもなったといいます。だから辛すぎても、甘すぎてもいけないのが手塩のコツ。
 いつだったかテレビで「お母さんが、おにぎりを作る時、手にお塩をかけて握るでしょう。子供にお腹いっぱい食べて欲しいと願いながら握るおにぎり。それこそ教育の原点です」という話を聞きました。どんなご馳走よりも母親の愛情のこもったおにぎりは、子供にとって生涯忘れられないもの。ちょっぴり効いた塩味は、叱られた時にこぼした涙の思い出にも繋つながるかもしれません。
 「お袋には、苦労をかけたなあ」そう思ったら、今度はこちらがお返しをする番。たまには、あなたの逞しいその手で「ありがとう」とお母さんの手を握り返してあげて下さい。親は、それだけでも、育てた甲斐があったと喜んでくれるものなのです。 (寺の友社 教宣編集室 謹製)

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