伝道シリーズ第1弾

No.028 愛の鞭

  言うのも、言われるのも嫌なのが小言。しかし、言うべき時には、嫌われてでも言っておかなければ、大事になりかねません。
 「仏の顔も三度」という言葉があるのはご存知でしょう。いかに慈悲深い仏さまでも、三度も顔を撫でまわされては、怒ってしまうという、これは狂言「貰い聟」に出てくる台詞だとか。
 でも、悟りをお開きになった仏さまです。顔を撫でたくらいで、本心からお怒りになるとは思えません。そこで、怒ったふりをなさったのだと考えてみました。
 時として、私たちは相手の恐い顔を見て、ハッとすることがありますよね。たとえば、お不動さまや鬼子母神さまは、とても怖い顔をなさっています。「どうして、あんなお姿を拝むのですか?」と尋ねる人もいますが、あれは私たちの心の中に起る煩悩や魔を降伏せんがために表している形相だとか。
 やさしい顔ばかりしていては、甘やかし、かえって人間を駄目にしてしまうとお考えなのではないでしょうか。
 世間にも“愛の鞭”という言葉があります。本当に、相手のことを思うのなら、時には厳しい言葉も、必要ではないでしょうか。
(寺の友社 教宣編集室 謹製)

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