伝道シリーズ第1弾

No.027 掌中の珠

  「たまごっち」というゲーム機が、大流行したのを憶えていますか。
 日本中、どの子もこのオモチャを欲しがり、アメリカでもブームを巻き起こし、はては中国製の贋物までが登場する始末でした。
 でも流行というのは、いつの時代もはかないもの、いつの間にか忘れ去られ、夢中になった子供達も、いまでは大人になりました。
 しかし、このゲーム機が爆発的な人気を得た理由を、私は忘れません。
「どこが面白いの?」と尋ねたら、「タマゴが、ひよこになり、どんどん成長すること」と子供達は素直に答えました。一人っ子だったり、兄弟姉妹の少ない現代っ子には、年下の子の面倒を見るという体験が、ほとんどありません。だけど、彼らの心の中にも、そんな優しさがあると知って、なぜか、ホッとしました。
『掌中の珠』という言葉があります。手の平の中にある珠、「最も大切にしているもの」という意味ですが、愛する我が子の喩えとしてもよく使われます。
 仏さまは、他者を愛おしむ気持は、誰の心に中にもあるとおっしゃっています。
 それならばあなたも手を合わせて、心の玉子をあっためてみませんか。きっと可愛いひなが誕生することでしょう。
(寺の友社 教宣編集室 謹製)

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