伝道シリーズ第1弾

No.011 光る汗、輝く涙

 人生をふり返った時、笑顔で思い出せるものは、いったいなんでしょう。
 苦あれば楽ありという人生、それは「あの時、よく耐(た)えたな」といえる、苦しみを乗り越えた体験ではないでしょうか。人間、おかしなもので、投げ出したくなったあの日のことが、今となっては懐(なつ)かしいと思えるようになるものです。それは心の中に、自分は体当たりで頑張ったという満足感があるからでしょう。
 お経の中には、「不自惜身命」(ふじしゃくしんみょう)という言葉があります。「真理を求めるためには、自ら身も命をも惜(お)しまない」という意味です。
 何事にも大切なのは意気込みです。その意気込みがあれば、苦は苦でなくなります。積極的に生きてこそ道は開けます。
 御身大事(おんみだいじ)という消極的な生き方は、かえって苦に押し潰(つぶ)されてしまいます。
 体は動かすために、心は感動するためにあるのです。精いっぱい働いて流す汗は光ります。思わずこぼれた涙は、いつの日か輝くものです。
 あなたの努力を、み仏さまは、いつもご覧になっています。 (寺の友社 教宣編集室 謹製)

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